2016年6月23日木曜日

パイロットになるのに遅すぎるということはあるかもしれないし、ないかもしれないというお話。

僕は日本ではいわゆる「負け組」に入る人間だと思います。

学生時代に日本の某航空会社の自社養成パイロット募集に応募しました。 書類審査は無事通過。 そして最初の面接で東京に行きました。 当時の僕は今の僕からは考えられないくらい根拠のない自信に満ちあふれていました。 なので、面接も特に準備もしませんでした。 今になって考えれば無茶苦茶です。

その面接で今でも覚えているのが、面接官の一人に聞かれた質問です。

「今回もし不採用になったらどうします?」

この質問への僕の答えは、

「その場合は海外にいってパイロットを目指します」

でした。 後輩の一人にこの会社の最終役員面接まで進んだ子がいました。 彼にこの話をしたら、

「だめですよ〜、それじゃ〜! その場合は、『今年がダメなら来年また挑戦いたします』って言わないと。」

と言われました。 なるほど〜〜! 日本の会社らしいです。

その後、一旦カナダで自家用操縦士免許を取得し、日本で社会人をして貯金をしている間に某社の「自社養成パイロットC制度」という枠に申し込みをしました。 この会社の採用審査は1〜6段階までありました。 僕はトントン拍子で5段階目まで進みました。 5段階目で「パイロット適性検査」と身体検査を受けました。 ここで残念ながら不採用になりました。 適性がないと判断されたんでしょう。 仕方ありません。 これで日本でエアラインパイロットになるという道は絶たれたので海外でパイロットになるという道を目指す覚悟が出来たわけです(日本で自費訓練をしてパイロットを目指すほどの余裕はありませんでした)。 日本では負けちゃった感じです。 でも、そこで諦める気は全くありませんでした。

僕がカナダに再度渡って来たのは28歳の時。 エアラインパイロットになれたのが36歳。 約8年かかった計算です。 僕は遅咲きのほうです。 カナダには25歳未満でエアラインパイロットになっている人も結構います。 

なんでこんな話をするかというと、僕にメールをくださる方の多くは若いころにパイロットになることを夢見ていた方で、なんらかの理由でその夢を諦め、社会人になった方が多いんです。 

 「今、〇〇才ですが、今からカナダでエアラインパイロットを目指すのは遅すぎますか? 子供の頃の夢を諦めきれずにモヤモヤしています」

という感じの質問が本当に多いです。 

これに対する僕の答えは、

「遅すぎることはないでしょう」

です。 よくある言い方になりますが、なにをするにも遅すぎるということはないと僕は基本的に思っています。 30歳過ぎからパイロットを目指してエアラインパイロットになったという人もいますし、それよりも後で訓練を始めた人も知っています。 

ここで検討すると良いと思うことは、

  1. 今の日本での安定した生活を捨てて、海外で訓練を受ける覚悟があるか
  2. もし今、何不自由ない生活をしているのであれば、これからしばらくは無収入、または低賃金で働く覚悟があるか
  3. 万が一、エアラインパイロットになれなくても後悔はしないか

ということです。 脅すつもりはまったくないのですが、今の仕事・収入・安定した生活を捨ててまで海外でパイロットを目指したいですか? ましてや、前述のように30歳を過ぎた方の場合、きっとある程度社会的地位もあるでしょうし、収入も生活に困らないくらい以上はもらっているでしょう。 カナダで訓練をするということはそれらを一旦捨てることになると思います。 もし家族をお持ちの方だったら尚更簡単には決断できないでしょう。 そこまでしてパイロットを目指したいですか?

また今度別の記事を書こうと思いますが、カナダでのエントリーレベルのパイロットの仕事の収入は日本でのフリーター生活並の額です。 「パイロット=高給取り」という構図にたどり着くにはかなりの時間と下積みが必要になります。 

ここで、25歳から訓練を開始する場合と30歳過ぎから訓練をする場合の違いについて書いてみます。 

訓練自体は特に差はないでしょう。 30歳過ぎなんてまだまだ若いです。 体力も知力も全然変わらないでしょう。 例えば20歳からパイロットを目指し、僕の例のように8年かけてエアラインパイロットになれたとします。 この場合、定年の65歳まで働くとすると、37年間(65−28=37)パイロットとしての収入を得ることができます。 一方、30歳からエアラインパイロットを目指し、38歳でパイロットになれた場合には27年間(65−38=27)パイロット収入を得ることができます(定年まで健康で、航空身体証明書を更新できたという仮定のお話です)。 

ご覧のとおり、10年間の収入差が出るわけです。 これは結構大きいです。 しかも、30歳からスタートするとなると、それまで作り上げてきた生活基盤を一時的に失うことにもなりかねませんが、20歳からの場合には収入も大した額をそもそももらっていないでしょうから、失うものが少ない、リスクが少ない、ということになります。 万が一、パイロットになれなくても、20代であれば日本に戻っていくらでもやり直しがきくでしょう。 30代後半からのやり直しはなにか特別な知識や経験がないと少し難しくなるかもしれません。

結構厳しいことを書いているようにも思いますが、パイロットの道を進むにはそれなりの覚悟がいるということを理解していただいたほうが良いと思うので今回このブログ記事を書きました。 この業界は長い下積みもありますし、低賃金で働くこともあります。 また、仕事に一旦ついてからも健康状態を保持しないといけないですし、半年に一度は試験に合格し続けないと仕事を続けることはできません。 こういうことをクリアしていくにはそれなりの覚悟と意思がないと続かないと思います。 ですから、パイロットに興味がおありの場合、よく考えてから決断されることを強くお勧めします。

なにか質問があればいつでもメールでお問い合わせください。


(つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿